主婦の内助の功

愛子が子どものころ、専業主婦の年金は保険料が免除され、夫が自分の分の保険料を払えば妻の年金も支給される仕組みに変わった。共働きや独身の男女らも共同して、その分を支えることになったのだ。それまで夫の給料から保険料を払っていた愛子の母は戸惑いながらも、「主婦の内助の功が認められたのよね」と、胸を張った。しかし愛子が結婚して数年後、年金財政のひっぱくが深刻になり、今では専業主婦も、原則として保険料を払わなければ支給されない仕組みに戻ってしまった。その以前から、学生の場合は収入がなくても保険料は支払う仕組みになり、専業主婦についても、「同じ無収入なのに、なぜ専業主婦だけが免除されるのか」との批判が起きた。「内助の功は共働きの妻もしている」、「主婦が働かなくてもやっていける家庭を、母子家庭がなぜ支えなければならないのか」といった批判も目立ち始めた。経済構造の変化についていけない企業の倒産も頻発し、夫の働きをあてにはできないと、結婚後も働き続ける女性は増え続けた。これら共働き有権者の声に押されるように、政府がついに、年金制度の改定に踏み切ったからだ。愛子の結婚したころは、失業率が過去最悪を記録したが、その後、少子化が進んで働き手の数は落ち込み、知り合いの専業主婦にも、外へ働きに出る人が増えた。周囲は、かって自然に恵まれた新興住宅地としてサラリーマン家庭が集まってきた。しかし今は、仕事場から遠すぎて共働きには不利、との理由で、引っ越す家庭も目立ってきた。コミュニケーションがうまくいかない夫婦はこのように関係修復に時間と手間がかかりますので、相性がピッタリの相手と出会えば夫婦間の問題は起こりにくいか、起こっても解決はこんなに大変ではないでしょう。


参考:結婚相談所 比較
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男女雇用機会均等法

隣の主婦は、「うちは家のローンが残っているから出ていくわけにはいかないわ」と、パソコンを使った翻訳業を在宅で始めている。以前は、女性は三十五歳以上は、再就職の口もないといわれていた。しかし、ここ十年ほどで、かつての男女雇用機会均等法が大きく手直しされ、性別や、年齢、国籍などを理由に採用に差別をつけることを厳しく禁止する雇用平等法ができた。家事や育児やボランティアの時間を考えに入れて労働時間も短縮され、共働きがしやすい仕組みに変わってきた。技能があれば、既婚でも年配でも外に働きにいくことは不可能ではない。夫の誠は、もともと銀行勤務は不向きだったが、ブランド企業に入れば一生安泰という両親の勧めで今の会社に入った。しかし、その後の金融不安で勤め先は英国の証券会社に買収された。年功序列はなくなり、仕事の熟練度や達成度が給料を左右する。新しい金融取引に熟達した米国帰りの女性が昇進し、誠は降格された。賃金は下がり、娘の可愛の教育費にも行き詰まりつつある。だが、結婚退職後、これといった職業訓練もせずにきた愛子は、仕事を探す気になれなかった。考え込んでいると、専業主婦仲間の悦子から電話が入った。「ねえ、老人介護のボランティアを始めたんだけど、一緒にやらない」と楽しそうだ。悦子は普段、パソコンのメールでやりとりをしているのだが、機械にからんだことは一切無関係と思っている愛子には、電話をかけてくる。「ボランティアって、いくらになるの」と愛子は、勢い込んで聞いた。これからで、出会う結婚相手との関係が難しくなったとき、この話を思い出してください。

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専業主婦は減った

これで多少は家計を補助できるかもしれない。だが、悦子は「介護は基本的には研修を受けた有給の専門家が核なのよ。ボランティアは、素人が自分の仕事の合間にできる簡単な仕事を、自発的に引き受けるのが基本だからね。たいしたお金にはならないわよ」とあっさりいう。愛子は、イライラしてきた。「朝から晩まで家庭の中で働いてもお金はもらえないの。夫は『仕事ができない社員は男でも降格」とかいわれて賃金は下がるし、年金は自前で払うことになってしまうし。離婚さえしなければ何とかなるなんて昔は思っていたけど、とんでもないわよれ。専業主婦なんて割にあわないと思わない?」。悦子は、驚いたように聞き返した。「あなた、資産もないのに専業主婦をやっているの?」悦子の父は、バブル崩壊後に土地が値崩れしたとき、遺産がわりに悦子名義の家を買ってくれたという。「夫が失業したり離婚になったりしても、最低限この賃貸料があると思うから専業主婦をやっているのよ・家事は好きだし、子どもとのんびりできるしね」と悦子はいう。専業主婦は減ったとはいえ、二人の共通の知人にはまだ少なくない。「ビッグバンで金融商品が多様化してずいぶんたつでしよ。危険度は高いけど利回りの高いものもあるから、結婚前に貯めたお金を元手にこういうものでお金を運用して増やしているとか、仕事の実績があっていつでも復帰できるとか、みんな、何かのリスク回避の手を打ちながら専業主婦を選んでるのよ・知らなかったの」自分を作り過ぎずに、素敵なパートナーを見つけよう。

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結婚関係の崩壊

愛子はショックを受けて、悦子が切った後の電話機をただ見つめていた。また電話が鳴った。かけてきたのは、高校時代の友人の立子だった。立子も専業主婦で、最近離婚したばかりだ。夫に好きな女性ができて離婚を切り出され、悩んでいると聞いたのが昨年のことだ。保守勢力の根強い反対を押し切って、民法改正が成立し、落ち度があった方から離婚を申し出た場合でも、結婚関係が事実上壊れていれば離婚を認める「破綻主義」が今では正式に認められている。「人の愛情は冷めるものなのに、主婦の座が一生のものだなんて、思い込んでいた私は甘かったわ」と、当時、立子はつぶやいていた。愛子は、自らも励ますようにこう声をかけた。「立子、あなたも大変だったわね。昔はよかったわよれえ」。しかし、立子は意外に明るく答えた。「別れてみたら、自分には自分の人生があった、と気づいたの。相手が嫌だというのにいつまでもしがみついて、ふつきれないより、こういう形ではっ
きりできて、かえってよかったわ」「お子さんもいるし、生活が大変でしょう」という愛子に、立子は「生活が安定するまでは政府から一人親手当てが出るのよ・それに、結婚のときに夫と契約を結んで、賃金の半分は私の個人財産として私名義の口座に振り込んでもらってきたから、蓄えはそれなりにあるの」と答えた。一人親手当てのほかに、離婚のときに子どもの養育費を取り決めることも義務づけられ、払わない親の場合は、公的機関が税金の徴収と一緒に養育費も取りたてる制度が導入されたという。これを読んでいれば、出会った人はあなたから離れられないかも。


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素敵な専業主婦

「うちは降格で、大変なのよ」という愛子に、立子は「おつれあいの収入が落ちたって、その分、あなたが働けばいいじゃない」とこともなげにいった。「最近は技能講座を政府が無料でやっているわよ・財政難もあるので、受講者に一定以上の収入が入るようになったところで授業料を返納する仕組みだけど、私も最近通い始めたわ」という。介護を始めとする社会福祉の充実で、税収や年金の財源は不足気味だった。働く必要や意欲のある人にはできるだけ働いてもらって税収を増やし、同時に、福祉や家事サービスなどの新しい産業分野について技能研修を行うことで、産業構造の転換も図ろうとする政府の方針なのだ、と立子は説明した。「私は、白いエプロンをつけて、庭の花をいじって、家族の面倒をじっくり見られる素敵な専業主婦になって愛に生きるのが理想だったのよ」という愛子を、立子はやさしく慰めた。「おつれあいに、もっと向いた仕事に転職するようすすめたら。そうでなければ、あなたが働いて一定期間休める程度の貯金をつくれば、また『専業主婦」ができるわよ・あなたみたいに、資産がなくても専業主婦をしたいという女性の間では、何年か働いてお金を貯めてから中断して専業主婦に戻り、お金がなくなったらまた再就職するという「腰かけ専業主婦」が流行なんですって。私たちの若いころみたいに、「正社員」じゃないだけで時間あたりの賃金が極端に安くなっちゃうなんてこともないし、パート就職を繰り返して通算で一定の年数になれば、それなりの年金もつくのょ。一生専業主婦だけやってるより、ずっと楽しいじゃない」出会いのチャンスはここにあります。、そこから先は自分で頑張らなきゃならない。ここを読んでいるあなたなら大丈夫。


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