男女雇用機会均等法

隣の主婦は、「うちは家のローンが残っているから出ていくわけにはいかないわ」と、パソコンを使った翻訳業を在宅で始めている。以前は、女性は三十五歳以上は、再就職の口もないといわれていた。しかし、ここ十年ほどで、かつての男女雇用機会均等法が大きく手直しされ、性別や、年齢、国籍などを理由に採用に差別をつけることを厳しく禁止する雇用平等法ができた。家事や育児やボランティアの時間を考えに入れて労働時間も短縮され、共働きがしやすい仕組みに変わってきた。技能があれば、既婚でも年配でも外に働きにいくことは不可能ではない。夫の誠は、もともと銀行勤務は不向きだったが、ブランド企業に入れば一生安泰という両親の勧めで今の会社に入った。しかし、その後の金融不安で勤め先は英国の証券会社に買収された。年功序列はなくなり、仕事の熟練度や達成度が給料を左右する。新しい金融取引に熟達した米国帰りの女性が昇進し、誠は降格された。賃金は下がり、娘の可愛の教育費にも行き詰まりつつある。だが、結婚退職後、これといった職業訓練もせずにきた愛子は、仕事を探す気になれなかった。考え込んでいると、専業主婦仲間の悦子から電話が入った。「ねえ、老人介護のボランティアを始めたんだけど、一緒にやらない」と楽しそうだ。悦子は普段、パソコンのメールでやりとりをしているのだが、機械にからんだことは一切無関係と思っている愛子には、電話をかけてくる。「ボランティアって、いくらになるの」と愛子は、勢い込んで聞いた。これからで、出会う結婚相手との関係が難しくなったとき、この話を思い出してください。

出典:
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