結婚関係の崩壊

愛子はショックを受けて、悦子が切った後の電話機をただ見つめていた。また電話が鳴った。かけてきたのは、高校時代の友人の立子だった。立子も専業主婦で、最近離婚したばかりだ。夫に好きな女性ができて離婚を切り出され、悩んでいると聞いたのが昨年のことだ。保守勢力の根強い反対を押し切って、民法改正が成立し、落ち度があった方から離婚を申し出た場合でも、結婚関係が事実上壊れていれば離婚を認める「破綻主義」が今では正式に認められている。「人の愛情は冷めるものなのに、主婦の座が一生のものだなんて、思い込んでいた私は甘かったわ」と、当時、立子はつぶやいていた。愛子は、自らも励ますようにこう声をかけた。「立子、あなたも大変だったわね。昔はよかったわよれえ」。しかし、立子は意外に明るく答えた。「別れてみたら、自分には自分の人生があった、と気づいたの。相手が嫌だというのにいつまでもしがみついて、ふつきれないより、こういう形ではっ
きりできて、かえってよかったわ」「お子さんもいるし、生活が大変でしょう」という愛子に、立子は「生活が安定するまでは政府から一人親手当てが出るのよ・それに、結婚のときに夫と契約を結んで、賃金の半分は私の個人財産として私名義の口座に振り込んでもらってきたから、蓄えはそれなりにあるの」と答えた。一人親手当てのほかに、離婚のときに子どもの養育費を取り決めることも義務づけられ、払わない親の場合は、公的機関が税金の徴収と一緒に養育費も取りたてる制度が導入されたという。これを読んでいれば、出会った人はあなたから離れられないかも。

出典元:
DY071_L

Comments are closed.